第31回白石市伝統芸能フェスティバル

山田流鎌田佐美音白石教室として一曲出演します。碧水園という、しっかりとした屋内能舞台です。舞台や松羽目(鏡板)に使われている木材の質が良いのでしょうか、とても良い響きで演奏出来る舞台です。今回の我々の演目「菊水」は、楠木正成が足利尊氏との最後の決戦に際し、息子正行に自分が後醍醐天皇より賜った短刀を授け、自分亡き後も後醍醐天皇を奉じ楠木の家名を汚すことなきよう、という今生の別れを告げる、という内容です。作曲者の山登万和は、山田流箏曲界では近江八景や須磨の嵐などを作ったヒットメーカーで、この「菊水」も、あまり長くなく、そこまで難解でもなく、キャッチーなメロディーがついていて、もっと演奏されて良いのにな、と思います。明治以降の国威発揚のイメージが付いているのか、はたまた終戦後の、逆にこの種の曲が敬遠される風潮に巻き込まれたか、いずれにせよ題材が南北朝時代であることを念頭に、演奏したいと思います。春の海と正月の関係と同じ。曲にはなんの罪もありません。